シリーズ 自治会のこれからを考える 第2回

町内会,自治会

第2回 “地域のつながり”は必要ない?|地域コミュニティ活性化への入り口

 キーワード:自治会加入率の低下、自治会活動のデジタル化、自治会のアップデート、若者の地域参加、自治会活性化

「地域のつながりはもう古い?」

 こんにちは。今年の春から、神奈川県小田原市で自治会長を務めているコネプラの高島です。
「面倒だから自治会には入らない」「自治会の加入にお誘いしたら悪者扱いされた」
自治会の話をしていると、そんな声を耳にします。
自治会への加入率は年々低下しており(下表)、特に集合住宅や単身世帯が多い都市部でその傾向が強いといわれています。
しかしながら、”マンションのコミュニティ醸成”に携わっている経験から、「自治会に入らない=地域に関心がない」とは限らないと感じています。
例えば、保育園でのつながり、趣味サークル、地域のマルシェなど、日々の暮らしの中で近所の人と自然につながりたいという声は少なくありません。

 表 自治会・町内会等の平均加入率の推移

(出展)岩垣 京之介「自治会・町内会の現状と今後の在り方」『調査と情報―ISSUE BRIEF―』No.1306, 2025.2 国立国会図書館ウェブサイト<https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/14019243

 

“近くに住んでいる”だけの関係が持つ力
地縁とは、“近所に住んでいる”というだけの関係。血縁や友人のような濃い関係性ではありませんが、独特の安心感があります。

たとえば、

  • 災害時に誰かが様子を見に来てくれる
  • 子どもが遊んでいたら、誰かが気にかけてくれる
  • ゴミ置き場が荒れていたら、そっと整えてくれる人がいる

 こうした“顔が見える距離感”がもたらす安心や信頼は、効率や利便性では測れない、地域ならではの価値があります。

自治会の“入りにくさ”という壁

“子ども会”や“お祭りの実行団体”など、地縁による繋がりから生まれる活動は、主に自治会がその役割を担ってきました。
しかし、少子高齢化や人口の流動性が進むなかで担い手不足が深刻化し、それらの役割すべてを自治会だけで支えることは、ますます難しくなっています。
一方で、自治会には“入りにくさ”という見えない壁が存在するように思います。かつての私自身もそうでしたが、新しく地域に引っ越しをしてきた人にとっては、「自治会が何をしているのかよくわからない」「入ったら何か頼まれそう」という理由から“自治会に加入しない”という声はよく聞きます。
特に、最近の子育て世代は共働きが当たり前になり、子どもの習い事などで週末も忙しい人も多くなりました。こうした状況では、「入るメリットが分からない」と自治会に入らない人が増えるのもうなずけます。

自治会の加入率の低下や役員の担い手不足は、少子高齢化だけではなく、こうした“入りにくさ”が原因の1つになっているのではないでしょうか。

 

暮らしの中の“小さなつながり”を大切にする

若い人たちが気軽に地域の活動に参加するためには、“自治会にいきなり加入する”のではなく、暮らしの中の小さな関わりから始めることが重要と私たちは考えます。

 たとえば――

  • 子育てを通じて知り合った家族とのつながり
  • 地域の畑作業やマルシェでの偶然の出会い
  • 回覧や掲示板では拾いきれない、日々の些細な会話 

こういったすでに地域に存在する“小さな繋がり”を起点にすることで、“地域への入り口”をもっとやさしく、広くすることで、無理のないかたちで地域との関わりが始められると考えています。

 

“GOKINJO”が生む、関わりの“入り口”と“継続”

 コネプラが提供するアプリ“GOKINJO”では、そんな“ちょっとしたつながり”を日常的に感じられめ、繋がることの価値を感じられるような仕組みを取り入れています。

  • ニックネームで始められる、ゆるやかな“入り口”
  • 回覧板の代わりになる“お知らせ”
  • 地域のささいな話題が話せる“掲示板”
  • おすそわけや貸し借りができる“助け合い”

ニックネームで始める
ニックネームで始める

回覧板

地域の情報掲示板

 

お困りごと相談

 

たとえば、保育園でつながりのある人にGOKINJOを教えてもらい、まずはニックネームで気軽に始めてみる。すると、地域のお譲り品だけでなく、自治会からのお祭りやイベント情報が目に入ってきて、地域の関わりに参加してみる。そこから自分に合った“関われる場所”が少しずつ広がってくる。こうした関わりがあったからこそ、「今の自分でもできることはないかな」「子育てが落ち着いたら少し手伝ってみようかな」といった想いが時間をかけて育まれていき、徐々に自治会への加入者や自治会活動の担い手も生まれてくるのではないでしょうか。

 このように、GOKINJOは、自治会を含めた、より広く、より気軽な“地域のつながり”として活用することが可能です。

 

 

次回:住民参加と官民協働の推進
自治会活動だけではなく、地域を自分たちの手で良くするための“自治”のかたちとは、という視点で考えていきます。

“しがらみ”ではなく、“安心”や“よろこび”を生む地域の姿とはどのようなものか。コネプラでは、そうした問いに向き合いながら、地域の皆さまと共にこれからの自治のあり方を探ってまいります。