管理会社の業務(ソフト面)

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「そもそもマンション管理会社って何してるの?」の記事で管理会社の業務について全体像の解説をしましたが、
今回はハード面の解説に続きソフト面の業務についてより詳しく例をご紹介します。
【参考】前回までの記事

【管理員業務・警備員業務】

■管理員業務
主に管理員室に日中いる管理員。業務を分けると以下のような内容になります。
(1)受付等の業務 駐車場や駐輪場、各種共用施設などの申し込み受付、各区分所有者や入居者の届出関係受付、共用部分の鍵の貸し出し対応、備品の在庫管理、引っ越し業者対応など
(2)点検業務 建物や設備の外観目視点検、照明の点検・交換(簡単にできるもの)、設備類の作動状況点検・記録、無断駐車・駐輪等の対応など
(3)立会業務 各種外注業者に対する立ち会い、災害・事故等の処理の立ち会いなど
(4)報告連絡業務 管理組合や管理会社が出す書面の掲示や配布、各種届出や点検結果等の報告など
■警備員業務
タワーマンションや大規模マンションなどでは、警備員を配置するところもあります。定期的に巡回したり、防犯カメラをチェックしたりしながら、マンション内の治安維持やトラブル対応を行います。

【会計・出納業務】

管理組合の会計・出納業務(+「維持または修繕に関する企画又は実施の調整」。詳細は後述します。)は、「基幹事務」と呼ばれマンション管理業の根幹を成す業務です。他の業務は契約の内容次第で実施したりしなかったり、あるいは下請け業者への再委託がありますが、これらの業務は唯一法令上(マンション管理適正化法)で一括して再委託することが禁じられており、全部または一部を行っていない場合や清掃業務だけを行っているような場合は、「マンション管理業」に該当しないということになります。
■会計業務
予算案の作成、決算案の作成、収支状況の報告。管理組合は毎年の総会で次年度の予算案、前年度の決算案を承認する必要がありますが、その素案の作成を担当します。また、一般的には毎月の収支状況の報告を理事会役員に対して行います。
■出納業務 
(1)管理費、修繕積立金、専用使用料、その他使用料等の収納業務。ほとんどの場合では各区分所有者等から口座振替書を出してもらい、口座振替で各種の金銭を集めます。
(2)管理費等滞納者に対する督促。上記でお金を集めようとしても一定数払えない、払わない、口座への用意し忘れという方が出てきますので、電話や直接訪問、督促状などの方法により督促を行います。ただし、際限なくこの業務を行うことは単に事務的な管理組合の代理という域を越え、法律事件の扱いとなって弁護士法違反となる可能性があるため、一般に支払期限後○ヶ月間に限るなど限定的な業務としています。
(3)通帳等の保管 管理組合の通帳を保管します。細かくはここでは説明しませんが保管方法のパターンが定められており、原則的に横領等防止のためハンコは管理会社で預かりません。ただし、管理費等を一時的に集める口座(収納口座)と集まったお金を長期的に保管する口座(保管口座)で分ける方式の場合には、一時的に集める口座の方のハンコは預かることができます。
(4)経費の支払い 管理組合に生じた経費の支払いをします。
(5)帳簿等の管理 会計に係る帳簿等を整備、保管します。管理組合の定期総会が終わり次第、管理組合に渡します。

【理事会・総会支援業務】

理事会・総会支援業務についての管理委託契約書上の文言は「理事会(総会)の開催日程等の調整」「招集通知および連絡」「議事に係る助言、資料の作成」「議事録案の作成」といった具合にさらっと書かれているだけですが、管理会社や担当者(フロント)の差が一番でやすいところです。
フロントが理事会・総会の単純な事務作業(日程調整、連絡、会場手配など)から始まり、多岐に渡る理事会・総会議題の資料作成と助言を行います。
理事会議題は建物・設備の点検状況確認や修繕、会計の状況、滞納者対応、修繕積立金の運用、さらには住民からの要望やトラブル対応、コミュニティ形成のための活動など極めて幅広い分野となり、これらの議題を円滑に進行するためフロントがサポートを行ってくれます。
なお、会計・出納業務の説明で触れた「維持または修繕に関する企画又は実施の調整」とは、長期修繕計画の作成や通常の修繕・保守点検を外注する場合の企画や実施調整を指し、実質的にはこれらの内容を理事会でやりとりすることになります。
余談ですが、しっかりと理事長をはじめとした役員で進行・検討・意思決定できていてフロントは本来通りサポートに過ぎない理事会から、役員とは建前ばかりでほぼ全てフロント任せの理事会まで、フロントがどのように支援業務を行うかはマンションによって度合いは様々です。
総会はさすがに理事会役員が中心となって進めなければいけないので、フロントはいかに理事会役員が中心となりつつ円滑に総会が開催されるか、という綿密な事前準備のサポートを行うことになります。

【その他】

■理事会支援とやや重複するところですが、各種検査等の報告やそれに基づく助言を行います。
■設計図書や管理規約原本、議事録、総会議案書等の図書を管理員室等で保管します。
■契約書上に通常明記はなくマンションにもよるのですが、多くの場合で住民の意見やクレームなどについては管理会社(主にフロント担当者)で一次的な対応を行います。

【おわりに】

ハード面と違ってソフト面の管理会社業務は「人」が重要であるため、契約書上は同じでも感じるサービスの質が異なってくる業務が多くあります。
特に管理員やフロントはマンションに係る多くの業務を担っており、相互の良好な信頼関係が築ければ、より良いマンションとなっていくでしょう。