マンションの防災(自宅住戸・対策編)

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前回は災害への備え、特に「自助」の部分でも「備蓄品」についてご紹介しました。
今回は、備蓄品以外にできる日頃の備えについてご紹介します。

■家具・家電の転倒・落下を防ぐ

家そのものの倒壊リスクが低いマンションでは、怪我の大きな要因は家具・家電の転倒や落下です。
寝ているところに倒れてこないか、倒れてドアが開く方向を塞がないか、重い物を高いところに置かない、といった点を注意しながらレイアウトする必要があります。
大きい家具や家電などの転倒・移動防止のためには、突っ張り棒やL型金具、粘着シート、着脱ができる移動防止ベルトなどを使うとよいでしょう。

■バルコニーに物をおかない

火災の発生時や地震の影響で玄関から出られない場合は、バルコニーから避難ハッチで下階に行くか、隔て板を壊して近隣住戸に逃げる、もしくは隔て板を壊した上で近隣住戸から避難ハッチでさらに下階に避難することになります。
そのような避難をする上で、導線やハッチ上に物があると自分や近隣住民の避難の妨げになってしまいますので、物を置かないようにしましょう。

■感震ブレーカーの設置

大きな地震が起こると、一時的な停電状態となる可能性があります。
その後の電気復旧時に室内で暖房器具などが倒れていると、可燃性のものと近接している状態で再び電源が入り、火災発生の原因となってしまうことがあります。
これがいわゆる「通電火災」です。
感震ブレーカーは地震を感知して自動的にブレーカーを落とすことで、地域やマンション全体の電気が復旧しても、手動でブレーカーを上げるまで室内の電気は復旧しないため、火災のおそれがあるような状況にないことを確認した上での復旧ができます。
なお、分電盤に内蔵するタイプや、おもりをつけるシンプルなタイプなど、いくつかの種類があります。

■自宅のハザードマップ上での場所を確認しておく

マンションの立地が高台などではない場合、水害リスクを想定しておく必要があります(高台でも近くに斜面がある場合は土砂災害リスクがあります)。
水害ハザードエリアにかかる場所である場合、低層階は直接的に自宅が被害を受けるかもしれません。
また、直接的に被害を受けない程度の高さがある部屋でも、マンションの場合はポンプや変電設備など様々な機械類が地上又は地下に設置されていることがほとんどであるため、浸水被害時には上水道・下水道・電気・ガスなどあらゆるインフラが使えなくなってしまうことを想定する必要があります。
津波などが想定される場所であれば、少ない判断時間の間に何階程度まで登ればよいのか(一般に1階あたり3m程度の高さ)も予めイメージできているとよいでしょう。

■避難想定をしておく

上記のようにハザードマップを確認すると、避難の想定もしやすくなります。
災害発生時のイメージとして避難所生活を思い浮かべる方も多いともいますが、地震の場合には建物被害がなければ基本的には多くの自治体で在宅避難が推奨されています。そもそも、自治体では全てのマンション住民が避難所を使うようなキャパシティの計算はしていません。
そして、近年の建築基準に沿って建てられているマンションであればかなりの強さの地震まで耐えられる想定であるため、築40年以上というような古い物件でもない限り在宅避難を想定しておく必要があります。
ただ、水害であると先述の通りインフラ停止の可能性もあるため、「インフラが停止しても在宅避難できる備蓄品を用意する」「水害を受ける蓋然性が低い最寄りの避難施設への避難」「離れた場所の家族親戚や知人宅への避難」といったパターンの想定もするべきでしょう。
自治体によっては、都市部でもほぼ全域が同時に水害を受けかねないところもあるため、地震のような「最寄りの避難施設」だけ想定しても使えない場合が十分起こり得ます。

■火災保険の内容を確認する

「火災」保険といっても、地震・津波等を除く災害(風害・水害等)に対応しています。
購入時になんとなくで商品を選んで、そのままになっていませんか?
火災・風災・水害などから必要だと思う内容を選ぶ仕組みですので、水害が想定されているエリアなのに火災・風災しか選んでおらず、いざ水害発生時に保険金が下りなかった…ということになりかねません。
これまで「生命を守るため」の内容を中心に紹介してきましたが、こうした「財産を守る」備えもしておくと安心でしょう。

<おわりに>

地震対策については過去の大規模震災の印象の強さから備える方も多いのですが、水害や風害、その影響による長期停電などについてはきちんと想定できていない方も多いのではないでしょうか。
全国的に水害・風害も増えている昨今、あらゆる災害への備えを日頃からしておくことが大切です。