管理計画認定マンション 条件満たせば固定資産税減額に

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管理計画認定マンションって?」の記事で管理計画認定マンションのメリットについて解説しましたが、3月28日に可決された地方税法改正により、新たに条件を満たした場合に固定資産税が減額となるという通称「マンション長寿命化促進税制」と呼ばれる制度ができました。
条件は限られますが、管理計画認定マンションに新たにメリットができたことになります。

【対象マンションの条件とは】

①築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
②長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること
③長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること※
※令和3年9月以降に、管理計画の認定基準未満から認定基準以上に積立金を一定以上引き上げ、「管理計画の認定」を取得した場合のみ。または、地方公共団体の助言・指導を受けて適切に長期修繕計画の見直し等をしていること。なお、管理計画の認定基準は自治体ごとに異なる場合があります。
という条件を満たした上で、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に長寿命化工事(屋根防水工事、床防水工事、外壁塗装等工事)が実施された場合に対象となります。
制度上「長寿命化工事」という表記をしていますが、いわゆる大規模修繕工事とほぼ同義です。
築20年以上であれば通常一回は大規模修繕を行っていますので、②の条件は問題ないものと思われます。
要注意なのは③の条件で、あくまでも「これまで(または現状)長期修繕計画上の修繕積立金の設定が認定基準以下で低すぎたマンションが、積立金設定を引き上げて認定基準を満たした場合」のみが対象となるため、従前から十分に適切な修繕積立金設定をしていたマンションは今回の対象となりません。
制度の趣旨が「管理に問題があるマンションの解消を図る」ことにあるためです。
また、工事が令和7年3月31日までに「完了」していることが条件ですので、一般的なケースで半年程度の工期ということを踏まえると、来年夏頃までには総会決議がなければ厳しく、さらに逆算すれば今年の遅くない時期には大規模修繕工事の具体的な検討が始まっていないと実質的に困難でしょう。
なお、管理計画認定については事前取得が必須ということではなく、工事完了日の翌年1月1日までに管理計画の認定を取得すれば良いということになっているほか、自治体の判断により長期修繕計画等を見直すことで対象となる場合があります。

【固定資産税減税の内容は】

上記の条件を満たした工事が実施された場合には、各区分所有者が翌年度支払う固定資産税(建物部分のみ、100㎡まで)を1/2~1/6の範囲内で各自治体が定めた割合にて減額がされます。
参酌基準(各自治体が地域の実情に応じて異なる内容を定めることができるが、十分に参照しなければならない基準)は「1/3」となっていますので、ほとんどの自治体では1/3の割合で減額が定められるものと予想されます。
具体的な減額率を確認したい場合は、新年度以降にマンションがある自治体の情報を確認する必要があります。

【おわりに】

対象となるマンションは限られてきそうではありますが、管理の状況に問題がある(あった)マンションにとっては所有者が直接的に優遇を受けるチャンスです。
もし大規模修繕工事の検討時期に差し掛かっているタイミングであれば、積極的に管理計画認定と併せて検討しても良いかもしれません。